退職者について、同業他社へ転職をしたのではないかという転職先確認の調査依頼は後を絶ちません。
長く自社で教育し培った技術や機密情報を同業他社へ手土産として持っていかれたのでは、といった懸念からです。

日本国民には職業選択の自由が憲法で保障されています。
ですので、退職後に同業他社に転じても何ら問題はありません。
在職中には、競業避止義務について就業規則に明記したり、各々の従業員と同義務についての契約を交わす事は可能です。
当然ながらその契約は退職後には無効ですので、退職後も維持したい場合は、別途契約上の根拠が必要になり、個別の契約書や誓約書を取り交わさなければなりません。
また、書面を取り交わしているからといって、訴訟となった際に、企業側が全て勝訴する訳ではありません。
会社の機密情報を扱っていた人や、役員・事業部長などが対象になることが殆どで、彼らについても法的効力が有効になる範囲は限定されています。
最近は、情報を書類で持ち出すことが殆どない為、持ち出した事の裏付け証明もかなり困難となっています。

企業側のリスクヘッジとしては、役員、従業員の在籍中より、一人に全ての情報を管理させたり任せ過ぎる事を避けるべきでしょう。
尾行調査により、同業他社に勤務していた事が判明し訴訟を起こしても、全面勝訴となる確率が低くなりつつあるこの頃です。