日本企業のM&A件数が過去最多を更新する勢いの中、不適切な譲り受け事業者によるトラブルが社会問題化してきています。
はなから事業承継をする気は無く、譲渡企業の資産を抜き取ることだけを目的に経営権を取得し、譲渡側の経営者保証を解除しないままトンズラするといった非常に悪質なケースも発生しています。
中小企業の深刻な後継者不足を背景にM&Aを奨励してきた政府も腰を上げ、今年8月に中小企業庁が中小M&Aガイドラインを改訂し、仲介業者などに対する規制を強めました。
また、中小企業庁はM&A支援機関に係る登録制度を2021年8月から運用しています。
しかし、同制度は許認可制度ではなく、同制度に登録しなければM&A仲介業務ができないというわけではありません。
しかも、2024年11月現在で同制度に登録しているM&A支援機関2812件の内、2020年代に設立されたのは1532件と過半数を超え、M&A支援業務専従者が0人と登録している630件を含み、同専従者2人以下が2024件と大半を占めています。
かつての太陽光バブル時の様に、実績の無い多くの業者がM&A仲介に群がっている状況が想像されます。
専門性の高いM&Aなどは仲介業者に一任しがちですが、譲渡側も自社で信頼できる調査会社での企業信用調査を実施されることをお勧めします。