近年、取締役の得意分野が一目で分かる一覧を開示するスキルマトリックスを行う上場企業が増加しています。
取締役会が多様な視点を踏まえて運営されているといった、企業の「運営の多様性アピール」です。
その企業がどういった分野に強みを持っているかなど、株主や取引先が分かりやすくもなっています。
一方、企業信用調査を行っている中で、確かに色々な得意分野を持った取締役が居るものの、
それらの取締役が各々の得意分野とはかけ離れた業務に従事しており、得意分野が全く生かされていないケースが多く判明しています。
もちろん、得意分野の業務に従事をしなければならない決まりはありませんが、
「業務に必要な分野を得意とする役員が居るから安心」と取引を始めた企業が「なんだか事の進みや理解度が悪い」と信用調査の依頼をしてくださり、
当該取締役が他社の取締役も兼務しており、全く対象企業の業務に従事していない事が判明した事もありました。
企業の透明度を上げる為のスキルマトリックスでもあるのですが、実態との乖離がないか、確認が必要かもしれません。