人材採用時の判断材料として、履歴書、職務経歴書による書類選考、面接、適性検査に加え、
リファレンスチェックを行う企業が増えてきました。
リファレンスチェックとは、採用側が照会先として求職者が指定した前職の上司や同僚等に対して、
求職者の応募内容に相違が無いか、当時の仕事ぶり等を確認する履歴確認手法です。

先日次の様な事例がありました。

食品加工販売会社の○○社は、日本とEUの間でEPA(経済連携協定)が成立し、輸出入の関税がほぼ撤廃される事を見越し、
新規事業として食品の輸出入事業を立ち上げる事に決めました。
そこで、新規事業部の人材募集を行いました。
最終選考に残った数人の内の1人に食品輸入販売会社の営業として10年勤めていたA氏(35歳)がいました。
新規事業という事もあり、最終選考に残った人材に対してはリファレンスチェックを行う事を決めていた○○社は、
A氏から照会先として提出のあったA氏の前職の同僚に対してリファレンスチェックを弊社に依頼。
結果は応募内容に相違は無く、仕事ぶりや人柄についても申し分ないとの回答でした。
ところが後日、A氏を知るという匿名の人物から○○社に電話が入りました。
その人物によると、A氏は前職で輸入した商品の一部を個人的にネットで販売する等の横流しを行っていた疑いがあり、
○○社がリファレンスチェックを行ったA氏の同僚についても共謀していた可能性が高いとの事でした。
連絡をくれた人物は、A氏のリファレンスチェックが入った事を知った上司か同僚と思われましたが、
名前は明かされませんでした。
後日弊社に、○○社からA氏についてのこの件の裏付け調査の依頼が来ました。
A氏について弊社の通常のバックグラウンドチェックの手法により側面調査を行ったところ、
匿名電話の内容が事実であり、しかも○○社からのリファレンスチェックが行われた直後に、
A氏と共謀していた疑いのある同僚が退職していた事も判明しました。
○○社はA氏の採用を見送りました。